輸出モデルの深掘り(沖縄・高知)
2025-08-24・日本農業輸出モデル沖縄高知農業DXブランド化
輸出モデルの深掘り(沖縄・高知)
はじめに
近年、日本の農産物輸出は急成長を遂げています。特に 沖縄県 と 高知県 は、南北それぞれの地域特性を活かしながら、独自の輸出モデルを展開しています。
本記事では、両地域の輸出事例を比較し、輸出モデルとしての可能性を探ります。
沖縄県:熱帯果実と観光連動モデル
- 主力品目
- パイナップル、マンゴー、バナナなどの熱帯果実
- ゴーヤーをはじめとする亜熱帯野菜
- 強み
- 東南アジアと同等の気候条件で栽培可能
- 観光需要と連動したブランド力(「沖縄=南国フルーツ」のイメージ)
- 那覇空港を利用したアジアへの空輸ルート
- 課題
- 台風被害や気候変動による収量不安定性
- 輸送コストの高さと保存技術の不足
- 国内市場との価格競争
高知県:施設園芸と加工品輸出モデル
- 主力品目
- ピーマン、なす、ショウガ、ユズなど
- 特にユズは果汁・加工品として欧米・アジアに輸出拡大
- 強み
- 施設園芸による安定供給(ICT活用)
- JAを中心とした輸出体制の整備
- 「高知ユズ=日本食文化の象徴」としての国際的ブランド化
- 課題
- 労働力不足と後継者問題
- 輸出品目が限定的で多角化が必要
- 為替変動の影響を受けやすい
沖縄と高知の比較
沖縄(観光連動・熱帯果実モデル)
- 南国フルーツを中心にインバウンド需要を取り込み、観光と輸出を結びつける。
- 空輸を主体に高価格帯市場を狙うが、天候リスクが大きい。
高知(施設園芸・加工品モデル)
- ICTと施設園芸を駆使して安定供給。
- 加工品(ユズ果汁など)で長期保存・輸送に対応。
- 品目を増やし、多様な市場を開拓する余地あり。
まとめ
- 沖縄型モデルは「観光×熱帯果実輸出」でイメージ戦略に強み。
- 高知型モデルは「施設園芸×加工品輸出」で安定供給と保存性に強み。
- 共通課題は「コスト削減」と「持続可能性確保」。
今後は両県の強みを組み合わせ、観光連動型ブランド化+施設園芸型安定供給のハイブリッドモデルが、日本農業輸出の新たな方向性となるでしょう。