輸出モデルの深掘り（青森・福岡）

はじめに

日本の農産物輸出は拡大を続け、地域ごとの特産品が海外市場で高い評価を受けています。
青森県と福岡県は、異なる戦略で輸出を伸ばしている代表的な地域です。

青森県の輸出モデル

1. りんご輸出のトップランナー

青森は国内りんご生産の約6割を占める。
主力輸出先は台湾・香港・タイ・ベトナム。
「ふじ」「王林」など多品種を輸出し、品質安定性とブランド力が強み。

2. 技術と物流の工夫

CA貯蔵技術（Controlled Atmosphere Storage）により、鮮度保持を長期化。
航空便と船便を組み合わせ、コストと鮮度を両立。

3. 課題

気候変動により収穫量が変動。
東南アジア市場では中国産との競合が激しく、差別化戦略が求められる。

福岡県の輸出モデル

1. あまおうイチゴのブランド化

福岡を代表する「あまおう」は、高級イチゴの象徴。
香港やシンガポールで「ギフト需要」として人気。
空輸主体で、収穫から24時間以内に現地到着可能。

2. 多角的な輸出戦略

イチゴ以外に野菜（ブロッコリー、トマト）や花卉も輸出。
福岡空港を拠点にした「農産物輸出ハブ化」が進む。

3. 課題

空輸コストが高く、持続可能な物流網の確立が必要。
品質維持には高度な選果・冷蔵技術が必須。

青森と福岡の比較

| 地域 | 主力品目 | 輸出先 | 強み | 課題 | |------|----------|--------|------|------| | 青森 | りんご | 台湾・香港・東南アジア | 長期保存・安定供給 | 中国産との競合・気候変動 | | 福岡 | あまおうイチゴ・野菜・花卉 | 香港・シンガポール | 高級ブランド・輸送スピード | 空輸コスト・品質維持 |

まとめ

青森型：長期保存技術を活かした安定供給モデル。
福岡型：高級ブランドを武器に即応型の輸出モデル。

どちらも強みは明確ですが、課題は「コスト削減」と「持続的なブランド戦略」。
今後はアジア以外の新市場開拓や、環境に優しい輸送方法が重要になっていくでしょう。