輸出モデルの深掘り(山形・長崎)
2025-08-22
輸出モデルの深掘り(山形・長崎)
はじめに
農業のグローバル化が進む中、日本の農産物輸出は右肩上がりで成長しています。
なかでも 山形県と長崎県 は、異なる強みを活かして輸出モデルを築いてきました。
本記事では両地域の取り組みを比較しつつ、その課題と展望を解説します。
山形県の輸出モデル
1. さくらんぼ・ラ・フランスのブランド化
- 山形といえば「佐藤錦」に代表されるさくらんぼや、ラ・フランスが有名。
- 香港や台湾を中心に、高級フルーツ市場で輸出を拡大。
- 厳しい品質基準をクリアすることで「日本ブランド=高品質」のイメージを確立。
2. 輸出体制の整備
- JAや県の主導で、選果・検査体制を統一。
- 農家単位ではなく「地域ブランド」として出荷することで信頼を確保。
3. 課題
- 輸送コストと鮮度保持が最大の壁。
- 収穫時期が限られているため、冷蔵・冷凍技術や空輸コスト削減が必須。
長崎県の輸出モデル
1. 温暖な気候を活かした柑橘類
- 長崎はみかんをはじめとする柑橘類の一大産地。
- 東南アジア向けに「デコポン」「レモン」などを積極輸出。
- 特にシンガポール・タイ・ベトナムで需要増加。
2. 魚介類との複合輸出
- 長崎は水産業も盛んで、農水産物を合わせた輸出戦略を展開。
- 例:柑橘+養殖マグロを「長崎ブランド」として発信。
3. 課題
- 東南アジアでは価格競争が激しく、「高級品」以外の普及価格帯市場も開拓が必要。
- フードロス削減・B級品活用も課題に。
山形と長崎の比較
| 地域 | 主力品目 | 輸出先 | 強み | 課題 | |------|----------|--------|------|------| | 山形 | さくらんぼ・ラ・フランス | 香港・台湾 | 高級フルーツブランド | 鮮度保持・輸送コスト | | 長崎 | 柑橘類・農水産複合 | 東南アジア | 多品目・温暖気候 | 価格競争・B級品対応 |
まとめ
輸出モデルには「高級フルーツ路線」と「多品目・複合路線」があります。
- 山形型:希少性とブランド力で高価格市場を狙う。
- 長崎型:幅広い輸出先と複合戦略で市場を広げる。
どちらも輸送コスト削減や持続可能性(サステナビリティ)対応が今後のカギとなります。