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日本茶と水質 ― 硬度・ミネラルが与える影響

2025-09-15日本茶水質硬度淹れ方味の違い

はじめに

「同じ茶葉なのに、場所によって味が違う」
そんな不思議を感じたことはありませんか?

実はその原因のひとつが 水質 です。

日本茶の風味は、お湯に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル、つまり 水の硬度 によって大きく変化します。

今回は、水質が日本茶に与える影響と、家庭での工夫について詳しく見ていきましょう。

※ここに画像を挿入(2025-09-15-japanese-tea-water-quality.jpg)


1. 硬度とは何か?

水の硬度は主に カルシウムマグネシウム の含有量で決まります。

  • 軟水(硬度100mg/L未満)
    → 日本や東アジアで多い。口当たりがやわらかい。

  • 中硬水(100〜300mg/L)
    → ヨーロッパの一部で見られる。ミネラル感が強め。

  • 硬水(300mg/L以上)
    → ヨーロッパや中東に多い。苦味が強く、重たい口当たり。

👉 日本は世界でも珍しい「軟水文化」。
お茶を美味しく淹れやすい環境にあります。


2. 水質が日本茶に与える影響

  • 軟水
    → テアニン(旨味成分)がよく抽出され、まろやかで繊細な味わい。
    → 日本茶の香りや色も美しく出やすい。

  • 硬水
    → カテキンやカフェインの抽出が強まり、渋味・苦味が前面に出やすい。
    → 色は濁りがちで、香りが重たくなる傾向。

つまり、同じ煎茶でも 軟水で淹れると甘味が際立ち、硬水で淹れると渋味が強くなる のです。


3. 日本茶と地域ごとの水

  • 日本(軟水)
    → 茶道や日常の急須文化が発達した理由のひとつ。

  • ヨーロッパ(硬水)
    → 緑茶より紅茶やハーブティーが主流。硬水は紅茶の色と香りを引き出しやすい。

  • 中国
    → 地域によって水質が大きく異なり、烏龍茶や黒茶などの発展につながった。

👉 水質と茶文化には、深い関係があるのです。


4. 家庭でできる水質調整の工夫

  • ミネラルウォーターを選ぶ
    → 軟水(硬度50mg/L前後)を選ぶと日本茶に適している。

  • 浄水器を使う
    → 水道水のカルキ臭を除去して、茶葉本来の香りを楽しめる。

  • ブレンドウォーター
    → 硬水と軟水を混ぜて、自分好みの味わいを探るのも一興。


5. 試験対策の観点から

日本茶インストラクター試験では、

  • 「水の硬度が成分抽出に与える影響」
  • 「軟水が日本茶に適している理由」
    が問われやすいポイントです。

特に「軟水=テアニンが出やすい」「硬水=カテキンが強く出る」という整理は必須です。


まとめ

  • 水質は日本茶の味を左右する大きな要素。
  • 軟水は旨味や香りを引き立て、硬水は渋味や苦味を強める。
  • 日本の軟水環境は、日本茶文化が育まれた背景のひとつ。
  • 家庭でも水を工夫することで、一杯のお茶は格段に美味しくなる。

「お茶は茶葉だけでなく、水も選ぶ」
その意識が、美味しい日本茶の第一歩です。


参考文献

  • 日本茶業中央会『日本茶の事典』
  • 農林水産省「日本茶を美味しく飲むための基本」
  • WHO「Guidelines for Drinking-water Quality」