日本茶とテイスティング ― 味と香りの評価方法
2025-09-10・日本茶テイスティング香り味覚評価方法
はじめに
日本茶を深く理解するために欠かせないのが テイスティング です。
「ただ飲んで美味しいかどうか」ではなく、
味・香り・色合い を細かく評価することで、
そのお茶の特徴や品質を正しく見極めることができます。
今回は、日本茶テイスティングの基本的な手順と評価ポイントを紹介します。
1. テイスティングの目的
- お茶の品質を確認するため
- 味や香りの特徴を比較するため
- 自分の好みを知るため
専門家だけでなく、普段のお茶選びにも役立ちます。
2. 味の評価ポイント
日本茶の味は大きく分けて 5つの要素 に注目します。
- 旨味:テアニン由来の甘み、まろやかさ
- 渋味:カテキンによるシャープさ
- 苦味:カフェインやカテキンの影響
- 甘味:熟成や火入れによって出やすい
- コク:全体のバランスが生む厚み
👉 玉露は旨味が強く、
👉 煎茶は渋味と旨味のバランス、
👉 ほうじ茶は香ばしさと甘味が特徴。
このように茶種ごとに個性を意識して味わいます。
3. 香りの評価ポイント
香りは日本茶の印象を大きく左右します。
- 若葉のような香り(煎茶)
- 海苔のような香り(玉露)
- 焙煎による香ばしさ(ほうじ茶)
- 抹茶特有の濃厚な香り(抹茶)
鼻に抜ける余韻を感じることも大切です。
4. テイスティングの実際の手順
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茶葉を見る
- 色・形・ツヤを確認。
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香りをかぐ
- 乾いた茶葉と、抽出後の香りを比較。
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抽出した茶を観察
- 水色(すいしょく:お茶の色)をチェック。
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口に含む
- 舌全体で味を感じ取り、少量をすする。
- すすると同時に空気を含ませると、香りがより広がる。
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後味・余韻を確認
- 旨味や渋味の持続、口の中の残り香を感じる。
5. 家庭でできるテイスティングの工夫
- 茶葉の量・湯温・抽出時間を一定にして比べる
- 同じ品種を異なる温度で淹れてみる
- 他の人と感想を共有してみる
日常的に練習することで、自分の「味覚の辞書」を育てられます。
まとめ
日本茶のテイスティングは、ただ飲むだけでなく
味・香り・色・余韻 を五感で感じ取ることが大切です。
- 味:旨味・渋味・苦味・甘味・コク
- 香り:若葉・海苔・焙煎・抹茶の濃厚さ
- 手順:見る → 香る → 観察 → 含む → 後味を確認
少し意識を変えるだけで、
普段の一杯がもっと特別な体験になります。
参考文献
- 日本茶業中央会『日本茶の事典』
- 農林水産省「日本茶の品質と評価」
- 熊倉功夫『茶の湯の歴史』