日本茶とカテキン ― 抗酸化作用と健康効果
2025-09-07・日本茶健康カテキン抗酸化生活習慣病予防
はじめに
日本茶を口にしたときに感じる「ほどよい渋み」。
その正体は、ポリフェノールの一種である カテキン です。
近年、カテキンは健康成分として世界的に注目され、抗酸化作用や生活習慣病予防、ダイエットサポートなど、多方面での効果が研究されています。
本記事では、日本茶の主要成分であるカテキンの種類や働き、そして日常生活に取り入れる際のポイントについて詳しく解説します。
1. カテキンとは何か?
日本茶に含まれるポリフェノール
- カテキンはポリフェノールの一種で、茶葉に含まれる苦渋味の主成分。
- 日本茶に含まれるポリフェノールのうち、実に60〜80%を占めるとされる。
- 光合成によって生成されるため、日光を浴びた茶葉(煎茶や番茶など)に多く含まれる。
主なカテキンの種類
日本茶に含まれるカテキンにはいくつかのタイプがあり、それぞれ特徴があります。
- エピガロカテキンガレート(EGCG):最も多く含まれる代表成分。強力な抗酸化作用。
- エピガロカテキン(EGC):抗菌作用や抗ウイルス作用を持つ。
- エピカテキンガレート(ECG):血圧やコレステロール調整に関連。
- エピカテキン(EC):血管拡張や動脈硬化予防に関与。
特に EGCG は日本茶の健康成分として数多くの研究対象となっており、茶の効能の中心を担っています。
2. カテキンの代表的な健康効果
① 抗酸化作用
- 活性酸素を除去する働きがあり、細胞の老化やDNAの損傷を抑える。
- がん予防やアンチエイジングの観点から注目されている。
- 抗酸化力はビタミンCやEにも匹敵するといわれる。
② 生活習慣病予防
- コレステロール低下:悪玉(LDL)コレステロールを下げる作用が報告。
- 血糖値コントロール:糖の吸収を緩やかにし、食後血糖値の上昇を抑制。
- 血圧低下:血管をしなやかに保つ働きがある。
③ 抗菌・抗ウイルス作用
- 口内の虫歯菌や歯周病菌の増殖を抑える。
- 風邪やインフルエンザの予防にも有効とされる。
- マウスウォッシュや歯磨き粉に応用されている例もある。
④ 脂肪燃焼・ダイエットサポート
- カテキンには脂肪燃焼を促進する作用があり、メタボ対策に注目。
- 一部の特定保健用食品(トクホ)では「体脂肪を減らす」と表示可能な根拠となっている。
3. 効果的な摂取方法
お茶を飲むタイミング
- 食事中や食後に飲むことで、脂肪や糖の吸収を抑制。
- 風邪が流行する季節には、うがいとして利用するのも有効。
抽出条件による違い
- カテキンは高温で抽出されやすい。
- 70〜90℃程度のお湯で淹れると効率的に摂取できる。
- 一方で渋味が強くなるため、飲みやすさを重視するなら温度をやや下げるのもポイント。
摂取量の目安
- 1日に数杯(3〜5杯程度)の緑茶で、健康効果を得やすいとされる。
- ただし、カフェインも含まれるため、飲みすぎには注意が必要。
4. 現代社会におけるカテキンの位置づけ
- カテキン入りの飲料やサプリメントが市場に多数登場。
- 「特定保健用食品(トクホ)」や「機能性表示食品」として認可される商品も増えている。
- 日本茶は自然な形でカテキンを摂取できる点で、安心感と文化的価値を兼ね備えている。
- 海外では「Green Tea Extract」として健康食品に利用され、日本茶人気の一因にもなっている。
まとめ
日本茶のカテキンは、健康と美容の両面で注目される成分です。
- 強力な抗酸化作用で老化や生活習慣病予防に寄与
- 抗菌作用で虫歯・感染症対策に役立つ
- 脂肪燃焼や血糖値コントロールにより現代人の健康を支える
毎日の生活にお茶を取り入れることは、自然に健康を守る知恵といえるでしょう。
参考文献
- 農林水産省「日本茶の成分」
- 日本茶業中央会『日本茶の事典』
- 厚生労働省「特定保健用食品許可品目一覧」
- 各種研究論文(伊藤園中央研究所ほか)