日本茶と季節の行事 ― 年中行事とお茶の関わり
2025-08-31・日本茶茶文化行事季節
はじめに
日本茶は日常の飲み物であると同時に、四季折々の行事や習慣と深く結びついています。
古来より、人々は季節ごとにお茶を楽しみ、健康や縁起を祈る風習を育んできました。
本記事では、日本茶と代表的な年中行事との関わりを紹介します。
1. 正月の「大福茶(おおぶくちゃ)」
- 新年に縁起を担ぐお茶として飲まれる。
- 梅干しや昆布を入れた茶で、「福を呼ぶ」とされる。
- 京都の公家や寺院から広まった伝統行事で、現在でも正月の風習として根付いている。
2. 初夏の「新茶」
- 5月前後に摘まれる「新茶」は一年で最も香り高く、栄養価も豊富。
- 古くから「新茶を飲むと寿命が延びる」といわれ、縁起物とされてきた。
- 新茶シーズンは各地で茶摘みイベントや試飲会が行われ、季節の風物詩として親しまれる。
3. 秋の「月見茶会」
- 中秋の名月を鑑賞しながらお茶を楽しむ行事。
- 茶道においても月見をテーマにした茶会が開かれ、秋の風情を堪能する機会となる。
- 団子や栗菓子など、秋の味覚と合わせるのも特徴。
4. 冬のお茶習慣
- 寒い季節には、ほうじ茶や玄米茶など温かみのあるお茶が好まれる。
- 風邪予防や体を温める目的で飲まれることも多い。
- 年末年始は家族や親戚が集まり、茶の間でお茶を囲む文化が今も息づいている。
まとめ
- 日本茶は 正月の大福茶、新茶の季節、秋の月見茶会、冬の団らん など、季節ごとの行事と密接に関わってきました。
- 単なる飲み物ではなく、人々の生活や願い、自然との調和を象徴する存在です。
- 四季を感じながらお茶を楽しむことで、日本茶文化をより深く味わうことができます。
参考文献
- 熊倉功夫『茶の湯の歴史』
- 農林水産省「日本茶と食文化」
- 日本茶業中央会『日本茶の事典』